1・神戸の思い出があったら教えてください。なければ、神戸はどんなイメージですか?小林(舞台監督助手)__住みはじめて3年目です。大きな荷物をのせた車や船が多く行き交うそのスケールに圧倒され、こうやって世界が回ってるんだなぁと感じました。大げさですかね。港には気持ちのいい風が吹き込み散歩にはおあつらえむきです。僕はよく缶ビール片手に夜の海を散策しています。
藤谷(演出助手)__神戸には、今まで観光でしか行ったことがなくて。冬に女2人でウミエの下が透ける観覧車に乗ったのが1番の思い出です。頂上でキスすべきか議論しました。なので憧れもあり恋人の街、というイメージが強いです。
吉村(演出助手)_神戸の町は、テレビで見ることのほうが多いです。水や海の印象が強かったです。ですが実際に神戸(の中の新開地)を訪れてみて、水はあっても海は感じないなあと思いました。水を感じたのは、お酒やボートピアが目に入ったからかもしれません。
2・その神戸に『Port』はあなたの感覚として近いですか、遠いですか?小林__近いのではないでしょうか。
藤谷__近いけど遠くもあると思います。
吉村_遠いです。
3・なんでそう思いますか?小林__浮かんでくる情景がどこか知っているように思えるからでしょうか、僕の故郷には港がなかったので。
藤谷__なにが起こるかという高揚感は近いのですが、憧れは得てして遠いものらしいので。
吉村_自分の知らない神戸が『Port』の中にはあるからだと思います。見ることのできなかったものを、たくさん見ました。
4・今回はリーディング公演ですが、リーディング公演についてあなたがもつ印象はどのようなものですか?藤谷__わたしの中には「リーディングは椅子に座って読むもの。」という漠然としたイメージがありました。高めのパイプ椅子に座ったきっちりした格好の人が朗々と読む、という。
吉村_本(台本)を持って、読む。和歌山や大阪で体験した「リーディング」は、あまり椅子には座らず、じっとしていないものが多かったです。
5・『Port』はその印象とくらべてどうですか?藤谷__だいぶ違いましたね。まずいつかの稽古日記で出演者のプリンさんが、朗読劇なのに汗をたくさんかくと書いていましたが本当に皆思っていたよりも動いている。声も稽古を重ねるたびに振れ幅が大きくなっていって、物語がちゃんとそこにある感覚が増してきたので本番がどうなるかとても楽しみです。
吉村_『Port』も本を持って、それを読んでいます。ですが、本と、それを持って読んでいる人が、とてつもなく近い関係(一体化してる?)にあるように感じます。今までに体験したどれとも違った「リーディング」です。
6・『Port』の見所を伝えてください。 小林__声に、音にその耳を傾けていただけたらと思います。シンプルな体験の中に、きっと心に触れるなにかを感じ取れるはずです。
藤谷__役者の声はもちろんですが、今回は役者の動作も舞台美術も小道具も客席も、端から端まで楽しめるようになっています。中でもわたしはとあるお話の小道具がとても好きなのです。みなさんにもどうかお気に入りの何かが見つかりますように。
吉村_『Port』はハイビジョン対応だと思います。いろいろなところを観察しに是非いらしてください。