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出演者紹介《七井悠》

≪紙袋を持つ男…七井悠≫

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【主な出演作品(2015-2016)】

≪2016≫
Recycle缶の階『話すのなら、今ここにないもののことを話したかった。 今ここにないものの話ばかりしようと思った。』(客席編)

≪2015≫
劇的集団まわりみち’39『泡沫は亡き春雪に消えゆ』
ピンク地底人『ピンク地底人の土葬ツアー2015 地底人北へ』
空の階『財産没収』(利賀演劇人コンクール参加)
したため『葵上』(創作コンペティション「一つの戯曲からの創作をとおして語ろう」vol.5参加)
したため『わたしのある日』


七井の演じる男は、紙袋をたくさん持って現れる。
紙袋の中身は、すべて一冊の本。会う人会う人が、彼に本を返していくのだという…。

「本を紙袋に入れて返すのが流行ってるんですかね?」
「なんで僕に返すんだかさっぱりわからない。」

(劇中台詞より)

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「器用な俳優ではないと思います」と自ら語る七井悠。
稽古場では、自分と相手の呼吸とに丁寧に丁寧に向き合う。
かと思えば、突拍子もない芝居で周囲を引っ張り回すことも。

“七井さんとの出会いは3年前の10月です。
缶の階という集団で出演者を募集していた時にチラシを見て応募して下さいました。
それから缶の階、Recycle缶の階、空の階(利賀演劇人コンクール)とご一緒して今回4回目です。
点の階公演については、舞台監督で美術の濱田君、音響の合田さんと私と並んで立ち上げメンバーです。”(久野)

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“俳優としての七井さんは、(演劇に対しては)ものすごくストイックで貪欲です。
自分が知らないことに対するコンプレックスがなくて勘が猛烈に鋭い。
だから、稽古するほどどんどん変わる。
初めて舞台を見たとき、「こんな人ほんとにいるんや・・・・」と思いました。
それから3年たちますが、稽古のたびに同じことを思います。”(久野)

「僕の書く小説は、読者に全然受けない。」
「これも売れなかった。こっちも売れなかった。こっちのも、こっちのも…」

「ひとはどれくらいで燃え尽きるんだろう。」
「何十年もかけて熟成して、1時間で焼却。切ないね。」

(劇中台詞より)

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“七井さんと稽古するのはものすごく楽しいです。
異常に柔軟に際限なく劇の可能性を広げてくれるからです。
「ことばというのは身体の拡張ツールなのだなあ」と感じます。
今回の七井さんの役は、「嫌な奴」です。台本を読んだ皆が「ちょっとこれどうなん?」と嫌な顔をしました。
七井さんだけが、「かわいいじゃないですか」と言いました。
かわいい嫌な奴になったらいいなあと思います。”(久野)

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(撮影:紅たえこ)

★前売りチケットの販売は12/31まで。お申し込みはお早めに。チケット購入はこちらから。
点の階『・・・』(作:久野那美) 2017年1月12日(木)~1月15日(日) @京都芸術センター講堂

出演者紹介《藤谷以優》

≪窓の外を見る女…藤谷以優≫

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【主な出演作品(2015-2016)】

《2016》
かのうとおっさんさん『ものわかりのいい病院』
そとばこまちプロデュース1ヶ月限定劇団『ちがたりない』

《2015》
レトルト内閣『文明ノ獣』


彼女は、ひとり静かに本を読んでいる。
物語は、彼女の周囲で進んでいく。彼女はただじっとそれを見つめている。

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2016年6月、点の階オーディションは、稽古形式で行われた。
すなわち、『・・・』初稿台本が参加者に手渡され、久野那美が実際に演出をつけるという形である。

藤谷以優とはオーディション時点で完全なる初対面、出演舞台も観たことがない状態での出会いだった。

“藤谷さんの最初のテイクを見た時は、正直難しいかなと感じました。(技術的にも目指してる方向性的にも)
だけど、何度もやるたびにどんどん柔軟に変化していく様子がとても興味深かったので、参加してもらうことにしました。
変化することこそが創作活動だと思うのです。自分のありのままを自他ともに対して認めてもらうことではなく。”(久野)

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実績ではなく、まっさらな白紙の状態であることに期待をかけられて参加した藤谷。
稽古場でも、自分の台詞は少ない中で、他人の台詞を聞くときのまっさらな表情が印象に残る。

“舞台に立つのは4回目という若い俳優さんと一緒に劇を創るのは学生時代以来ですが、オーディションに立ち会った点の階メンバーが誰も反対しなかったので、出演してもらうことにしました。台本の初稿になかった藤谷さんとの役を新たに作りました。

とにかく楽しそうに稽古にきて、ほとんど自分の台詞がない稽古に始終楽しそうに参加して、他人のダメ出しを聞いて勝手に学んで勝手にバージョンアップしていきます。きのうできなかったことが今日できたかと思ったら、昨日までできたことが今日はできなかったりします。”(久野)

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“俳優も作家も、経験を積んでいくとつい「自分の持ってる力を最大限生かして闘う」ということを創作だと思いがちになるのですが、創作の場に「変化すること」なしに生き残れないメンバーが混じっていることは、その生ぬるい創作感覚をぶち壊してくれます。新人であろうが、作品に必要なものを公演の時には調達してもらわなければならないので、彼女の変化を信じつつ疑いつつ、スリリングに稽古しています。
一緒に最後まで変化し続ける現場でありたいと思っています。”(久野)

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「とりかえしのつかないこと。弔うこと。意味がわからなくてもいいから棺に百合の花を入れること。」(劇中台詞より)

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(撮影:紅たえ子)

◆Under25チケットは、3枚セットで1900円/1枚。ぜひお誘いあわせてお申し込みください。詳細はこちらから。
点の階『・・・』(作:久野那美) 2017年1月12日(木)~1月15日(日) @京都芸術センター講堂

出演者紹介《佐々木峻一》

≪何も持たない男…佐々木峻一(努力クラブ)≫

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【主な出演作品(2015-2016)】

《2016》
ユバチ『Re:connect』
劇団飛び道具『アルト-橋島篇-』
Zombie-4months creation『Action and Presentation』
努力クラブ『ピエロどうもありがとうピエロ』
ブルーエゴナク『ラッパー』

《2015》
BRDG×努力クラブ×したため『ドメスティックサイエンス』
made in KAIKA『松原京極オプマジカリアルテクノ』
柳川『約三十の嘘』
劇団衛星『義経千本松原』


「点転」という盤上競技の若手棋士。それが佐々木の演じる役柄である。
点転に対する彼の自信と熱意は、佐々木自身の芝居への熱意とつながっている。

「世界に通用する棋士になりたいです。」
「僕は点転を10年やってきました。これからもこの世界で生きていきたいと思っています。」

(劇中台詞より)

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“佐々木君とは点の階オ-ディションではじめて会いました。
控えめに自己申告して保険をかけて、「あら意外とできるじゃない」と相手に言わせるような心持がわたしはいちばん嫌いなのですが、佐々木君は正反対でした。実績や現状からは「難しいんじゃない?」とふつうは思われるような成果を本人だけは出す気まんまんでいるところに好感を持ちました。”(久野)

「点にはあらかじめ名前をつけることができません。まだどこにも打たれていない点はただの点です。自分も、相手も同じです。何が起こるのか、始まる前は誰も何も知らない。」
(劇中台詞より)

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他人と歩調を合わせることのない、独立独歩のキャラクターを演じる印象が強い佐々木。
「コミュニケーションがとれる俳優になりたい」と、今までの不得意分野に挑戦するべく稽古に励んでいる。

“演劇をやっていて、「今できるはずがないことが本番ではできるかもしれない」ということがいちばん楽しいしわくわくします。そんないちばんの醍醐味なしに、「失敗するわけにはいかない」「効率よくよい結果を出そう」とする創作現場から、わくわくする作品が生まれることはないと思うのです。”

“自分が選ばれた人間であることを信じたいから準備や努力をしない、というひとは多いように思うのですが、彼は根拠もなく自信を持ってる割に猛烈に地道にコツコツ努力する俳優さんでした。そして頑丈だった。全員からダメ出しされても、彼のために稽古が滞っても、ものすごく楽しそうに稽古にきます。こういう俳優さんがめきめき変化していく現場はすごく楽しいです。おかげさまで活気あるスリリングな稽古場になっています。”(久野)

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「僕は点転を始めて、待つことを覚えました。今何が起こっているのかわからないときは、次に何かが起こるのを待つようになりました。
肝心なことはいちばん後にやってくる。
それを決して見逃さないように待とうと考えるようになりました。」

(劇中台詞より)

“ただ、「どう見ても今は無理だろう」ということは、結果的に「やっぱり無理だった」となる可能性がもちろんあります。彼は今もまだ、稽古場で闘っています。成果を出したいです。”(久野)

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(撮影:紅たえこ)


◆1月14日(土)11:30公演後、関西棋院の囲碁棋士と点の階作家・出演者によるアフタートーク・アフター囲碁講座を行います!詳しくはこちらから。
点の階『・・・』(作:久野那美) 2017年1月12日(木)~1月15日(日) @京都芸術センター講堂

出演者紹介《中村彩乃》

≪黒い靴の女…中村彩乃(劇団飛び道具)≫

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【主な出演作品(2015-2016)】

≪2016≫
Recycle缶の階『話すのなら、今ここにないもののことを話したかった。今ここにないものの話ばかりしようと思った。』(客席編)
劇団飛び道具『アルトー橋島篇ー』
エイチエムピー・シアターカンパニー『静止する身体』
おちょちょ『あ、真下』
劇団どくんご幕間劇 おちょちょ『THE FOREST』

≪2015≫
ルサンチカ 『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』
一人芝居企画公演『モノがたり』
エイチエムピー・シアターカンパニー 『桜姫ー歌ヒ鳴ク雉ノ行方』
エイチエムピー・シアターカンパニー『阿部定の犬』


平日公演に出演する中村彩乃が演じるのは、ある一冊の本を持った女性。
紙袋を持った小説家の男に、本を返しに来たのだという。

「ここですよね。本に書かれてる、煙の見える窓。」
「今日の式も本の中のと同じでしたね。棺に百合の花を入れてました。」

(劇中台詞より)

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“中村さんとの出会いは、昨年のRecycle缶の階のオーディションです。
すごく固い表情で、口をきゅっと結んで座っていました。
とても音感が良いので「音楽をやってました?」と聞いたら、「バンドを・・」と。”(久野)

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就職しながらも、劇団飛び道具に所属し、更には昨年劇団「安住の地」を旗揚げ、演劇への道を突き進んでいく印象の中村。
稽古場でも、隙あらば「演劇楽しい!」と繰り返し、精力的に稽古に臨んでいる。

“Recycle缶の階で半年ご一緒して、就職していったん演劇を離れたはずだったのに、なぜか点の階のオーディションにも参加していて・・・
悩んだのですが、「え!ん!げ!き!を!や!り!た!い!の!だ~!!」という猛烈な執念と、そのわりには感傷を排してドライに状況を判断できる聡明さに負けて、今回もご一緒することになりました。”

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“器用にいろんなことができるひとだと思うのですが、それで満足せず、常に「自分ができないこと」に目を向けて、それを何が何でも手に入れようとする欲深さがあります。いつも、「私は〇〇ができない…」と悩みながら生きてるようにみえます。なので、ものすごくストイックに稽古にとりくみます。

この先どんな風になっていくのか、想像付きそうでまったくつかない、とても楽しみな俳優さんです。

今回は訳アリのちょっと切ない女性の役で登場します。”(久野)

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(撮影:紅たえ子)


◆点の階『・・・』(作:久野那美) 2017年1月12日(木)~1月15日(日) @京都芸術センター講堂

出演者紹介《三田村啓示》

≪白い靴下の男…三田村啓示(空の驛舎)≫

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【主な出演作品(2015-2016)】

≪2016≫
伊丹想流私塾第20期生公演『何かのマチガイ』
現代演劇レトロスペクティヴ〈特別企画〉AI・HALL+生田萬『夜の子供2』
ピンク地底人『わたしのヒーロー』
木村悠介演出作品『サミュエル・ベケット わたしじゃない』

≪2015≫
伏兵コード『我が行路』
努力クラブ『彼女じゃない人に起こしてもらう』
モンゴルズシアターカンパニー『闘争⚡判断』
「みんなの劇場」こどもプログラム『とおのものけやしき』
劇団太陽族『劇論~どこから来てどこへ行くのか』


三田村啓二が演じる役、「白い靴下の男」は、突然部屋に現れる。
他の多くの人と同じように、一冊の本を、小説家の男に返すために。

「すいません。ずいぶん長い間お借りしてしまって。家の者が今日先生にお返しするために持ってきたと思うんですけど…」
「今日の式も本の中のと同じでしたね。棺に百合の花を入れてました。」

(劇中台詞より)

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今回、階の公演では珍しく20代の俳優が多い中、三田村は七井と並ぶベテランの立ち位置である。
20代女性である中村彩乃と30代男性である三田村のダブルキャスト。それぞれの出演回で、どんな異なる景色が見えてくるか。

“三田村さんは以前から舞台で拝見して気になっていたので、今回思い切って出演をお願いしました。所属劇団の公演を翌月に控えていることもあり、劇団さんのご協力を得ての参加となりました。
はじめて舞台で拝見した時はまだ30歳くらいで「魅力的な若手俳優さんがいるなあ」と思って居たのですが、ここ数年であっという間に風格を増し、関西小劇場を代表する俳優になっておられました。”(久野)

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“力で押さないのに遠くまで通るソフトで厚みのある声と、役柄によってどんな風にも見える不思議な風貌が魅力の俳優さんです。論理的に考えて粘り強く問題を解決しようとする人でもありますが、ご一緒して思ったのは、意外と感覚的な方だということでした。言葉以前のレベルで、やりたいこととやりたくないことがはっきりしている感じが印象的でした。今回、とてもつかみどころのない役に挑戦してもらっています。

演技とは人格を表現するものであるという考え方もあると思うのですが、今回三田村さんの役割は、人格とは違う部分で全体の空気の流れを左右するキーになるポジションです。俳優は舞台の上でそういう役割も担うのだということを私は今回の作品で三田村さんに教えてもらいました。”(久野)

「だってまだここにいるような気がしてしまう。そんなはずはないのにそんな気がしてしまう。」
(劇中台詞より)

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(撮影:紅たえ子)


◆点の階『・・・』(作:久野那美) 2017年1月12日(木)~1月15日(日) @京都芸術センター講堂